ソフトウェアが変わると音は変わる?


結論

「ソフトウェアの変更で音が変わった」という話は本当に「オカルト」なのでしょうか?

結論から言うと、「ソフトウェアの変更内容による」です。

ここからは「変わる」派、あるいは、「変わらない」派が、お互いをただバカにしたいだけの人はお帰りください。

それぞれの主張

「音が変わった」あるいは「音は変わらない」という多くの主張は、どちらの立場であれ、データがあっての主張ではなく、「(私が聞いた限り)音が変わった(ように聞こえる)」か「(デジタルデータなんだから)音は変わらない(に決まっている)」と言ってるだけのようです。

これは、どっちもどっちである、なんですけどねぇ。

前者の「変わる」派は、その主張自体が極めて主観的な意見なのだから、別の人がそう思うかは分からない。だからこそ、「変わらない」派は、データ出せよ、というわけですが、そんなもん、ただの印象をデータにできるわけがないじゃないですか。結果、自己の主張を認めてもらえるようなことは当然ありませんし、そのこじらせ方はだいたい常軌を逸しているとされ、「オカルト」認定を受けます。

「オカルト」認定されるような方々にもいろんな流派がありますが、「変わらない」派を前にすると一致団結して闘争に臨む姿などはさすがではありますが、結局何人集まったところで、科学的な根拠を出したまえ、という「変わらない」派の主張に対して、なんらのデータを持ち合わせていないことに変わりはなく、「あいつには良さが分からない」「しょせんは(ry」という捨て台詞とともに表舞台を後にし、内ゲバに戻っていくのです。

後者の「変わらない」派は、「変わる」にはなんらかの差が存在するはずであるが、そのような差の存在は確認されていない、という科学的な根拠があり、二重盲検法のようなバイアスの影響を排除する科学的な検証手法を「変わる」派が頑なに拒んでいるということもあって、その立ち位置は盤石です。

ただこの主張も科学的でもっともらしいように見えるけれど、実態はどうであるかと言えば、相手の主張がいかに「オカルト」であるか、という主張と、デジタルなのだから「変わらない(に決まっている)」、という点を盲信してるだけなわけです。元のデジタルデータが、エンコード、デコードという工程を経ても変わらない、という事実があるだけなのにです。

「おまえ電子機器バカにしすぎじゃね?」

たしかに無圧縮な WAV であったり、可逆圧縮な FLAC あるいは Apple Lossless は、そのフォーマットの特性上データの欠損がないわけだから、デジタルデータとして差がないのは当然であり、差が生じること自体あってはならない話です。その存在価値がなくなる。

なので、デジタルデータが一致する環境において、「サーバー、ルーター、ハブ、LAN ケーブル、USB ケーブル、などによって音が変わる」のだ、と「変わる」派がいくら主張したところで、その違いによってどんな差が生じたのか、を示すデータが提示されない限り、「変わらない」派から「オカルト」扱いされるのは当然です。

「変わる」派が「おれの耳ではたしかに違う」という経験を持ち出すのは大いに結構なのですが、それは「他の人の耳では違いが分からない」かもしれないし、ただそのときの印象だけの話かもしれないわけです。薬によって聞こえる音程が狂う、という報告もあるわけですから、人間という環境自体が変化の多いものである以上、それらを適切に排除した結果のデータを示せないと「オカルト」のままで終わるのです。

「変わる」派のいう差が現時点の設備では観測できないのは事実ですが、「もしかしたら差があるのかもしれないね。いつか差を観測できるような設備ができるといいね。」という立場に立っておくのが「科学的」というものなんじゃないでしょうか。

いずれの立場あっても、普段から「先入観はいけない!」とか言っている人が一方を根拠レスで信じている様は滑稽であるし、しょせん妥当なのはどちらであるかでもあるし、こんなことはことさら主張するようなものでもなく、今すでに起きている無駄な闘争に巻き込まれないよう、極端な主張を繰り返す流派を遠く離れたところから生暖かく見守るのがいいでしょう。

変わるとは?変わらないとは?

ここまで読まれた方は、暇を持て余しており、かといって他にやることもないし、読んでいて途中で飽きたかもしれないけどもうちょっと読んでみようとし、どちらか一方の立場を盲信するわけでもないはずですから、実際のデータの流れがどうなっているのかを考えることに抵抗はないことでしょう。

音が実際に出るまでの経路を見ていきましょう。ここでは PCM のデータだけを扱いますが、DSD でも同じことです。

最初の段階として、どこに、どんな形で、どうやって保存されていたかに依らず、データを PCM に戻す必要があります。

この PCM に戻すまでの経路は今日では様々ありますが、WAV や FLAC や Apple Lossless では途中の経路での PCM データの欠損はありません。

この PCM データに戻されるまでの間での欠損は発生しませんし、もし影響があるなら、この経路の各所で発生する電子回路への影響か、ソフトウェアでPCMデータを加工しているか、ハードウェアもしくはソフトウェアの不具合です。

ここまでの経路においてソフトウェアによって「変わる」差を発見するのは、非常に困難であることは間違いないと思いますが、ここでも「変わる」派の方は頑張ってください。

MP3 などの圧縮音源ならいざ知らず、無圧縮や可逆圧縮の音源データが加工なんかされていようものなら、原音忠実再現原理主義者がだまっていないことでしょう。

原音忠実再現原理主義者でも「MP3 などの圧縮音源はデータ補間をしてより原音に忠実になるよう努力すべきだ!」派とか「形式に関わらずデータの加工は認めない!が俺の好きな音が鳴るようにしろ!」派とかいたりして目が離せません。

「変わらない」派の皆様におかれましては、ここまでの経路で「変わる」可能性は極めて低いので、その立場は安泰と言えるでしょう。

この後 CPU から出力された PCM データは、DAC を通り、様々な電子回路を通り、アンプで増幅され、スピーカーケーブルを通り、スピーカーから音が出ます。

アンプに信号が出力された後はもうソフトウェアの手を離れてしまうので、ここに対して「ソフトウェアによって音が変わる」という主張があれば、それはもう完全に「オカルト」認定でいいでしょう。

余談ですが、スピーカーケーブルで音が「変わる」派の方は、せっかく、その影響が本当かどうかをはっきりさせましょうと「変わらない」派が言ってるのですから、とっとと試験に参加すればいいと思うんですけど、なんで参加しないんです?すでに加齢の影響で高音が聞こえてないのをバラされちゃったら困るって話です?(つぶらな瞳で

アンプは、やはりノイズをどう抑えるか、ということなんでしょうねぇ。そもそも、いろんな部品や回路で発生する電波の飛びつきは完全に排除するのが難しいし、考えられる対策が各社のノウハウって感じなんでしょうねぇ。研究対象としてアリでしょうけど、結果の判断が難しいですよねぇ。

スピーカーは、根本的に、入力に対して素早く振えてほしいが、一方で余分な振動はせず、ピタっと止まってほしい、という矛盾した要件の塊みたいなものなわけです。これもどんな材料が適しているのか、適していないのか。こちらもがっつり研究対象としてアリなわけですが、同上。

それはさておき。

残りは、

の3つです。

ようやく本題です。

この3つはソフトウェアを変更することによって影響が出る「可能性が」あります。

CPU からの出力形式は、つまりは DAC への入力形式になるわけですが、これはデータに全く欠損がなかったとしても、マスタークロックなどのクロック設定によって AC 特性が変わります。この設定はソフトウェアでも変更が可能です。

DAC にもフィルタなど設定がいくつかあり、それらを変更することが AC 特性を変えることになる設定があります。これも当然ソフトウェアでも変更可能です。

これらの設定変更が実際にソフトウェアで可能かどうかは、ハードウェアの設計にもよりますし、また AC 特性の変化が、そのまま人の耳に検知可能で、かつ、「いい音」につながるか、はまた別の話ですが、ソフトウェアによって音を変えられるデータがある以上、盲目的に「変わらない」と信じ込んでいる原理主義者は考えを改めた方がいいかもしれませんね。これからは「そんなもん俺の耳は聞き分けられない」という主観を押し出してみるのはどうでしょう?

「変わらない」原理主義者の皆様。どうせバカなんですから、主観 vs 主観でいきましょうよ。そちらのが面白いですって。私が。

残るのは電子回路で、非常に範囲を広げていますが、大きな影響があるのでは電子ボリュームですね。これもソフトウェアでも変更可能です。っていうか、ソフトウェアでできないと困る製品も多すぎ困るほどありますよね。

「はぁ!?ソフトウェアの変更前後でボリューム値は同じだよ。バーカ!」という方もいらっしゃるでしょうか、そのボリューム値と出力音量が同じだと誰が決めた?ということです。そもそも機器のボリューム値と内部の電子部品で扱えるボリューム値には違いがあります。

DAC にも同様の機能が搭載されているものも多いです。

で、そのボリュームなんですけどね。だいたい dB 表記なわけですよ。0dB から -90dB の 1dB step とか、0dB から -120dB の 0.5dB step とか、ね。

とはいえ、オーディオ製品でもそんなに可変範囲が広くないし、0 が MUTE で自然数表記みたいな製品も多いでしょ。テレビとか。つまり、これってそれぞれのメーカーがそれぞれの判断で、操作体系や過去モデルへの意見等々を反映して、部品としてのボリューム設定と製品としてのボリューム設定の変換表があるわけですよ。

ちゃんとオーディオ製品を作っている会社であれば、こんな変換表をいぢったりせず、そもそも部品性能とかで「勝負」していますよねぇ。部品番号とか写真載せてるメーカーあるじゃないですか。

一方で、オーディオはしょせんオカルトと思って、そんなところをいぢる変なメーカーもいるってことです。

そういうことでありますので、

ソフトウェアの変更で音が「変えることもある」し「変わらないこともある」けれど、変わるような変更をメーカーはまずしない、ってことです。

音が良くなるか悪くなるか、という話は、そもそもが主観ですので、自分がいいと思ったものが一番いい音なのです。設備の金額とか関係ないし、アナログかデジタルか、なんて些末な問題なんですよ。誰がなんと言おうともです。

音がよくなった、と思える人は幸せなんですよ。そっとしておいてあげましょう。

自分が納得いく音楽再生環境があるってのはなかなか貴重ですよ。だいたいケチをつけたくなるものなので。(そして沼にはまるわけですが。)

ここまで読んでもまだ絶対変わらない原理主義者ご一行様、樹海行きのバスがそろそろ発車しますので、乗り忘れないようにお願いしますね。絶対帰ってくんなよ。

まとまってない気もするけど、まぁいいや。


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